自販機の想い出

日本は”自販機大国”とも言われているそうで、いたるところに自販機が設置

されている。喉が渇いたと思えば、100メートルも歩けばジュースの自販機を

簡単に見つけることができるが、海外ではこんなことは考えられないらしい。

一口に自販機といっても、多種多様であり、最近では、お米・アイスクリーム・

電池・ケーキ・週刊誌・ポップコーン・生花、、、と何でもありで、最初に

カップラーメンのお湯がでる自販機やアツアツのハンバーガー自販機を

見た時はむちゃくちゃ驚いた。(たぶん昭和50年前半頃)

「笑ってしまうぞ系」としては、おでんの缶詰・鳩のエサ(↓)・水中メガネ・手袋・

プールの帽子・豆腐・ちくわ・えっちレンタルビデオ、、、など枚挙にいとまがない。

こういうVOW的お笑い自販機をテーマにしたホームページも意外と多いようだ。

さて、今回は自販機について、想い出を語ってみたい。

 

   

そもそも自販機という言葉は、この20年くらい前から使われるようになった

言葉だと思う。はすぴーが高校生の頃までは、略さずに「自動販売機」と呼んで

いたし、昭和30〜40年代には自販機そのものがあまり存在していなかった。

(自動販売機が全くなかったというわけではないと思うが、一般的には普及していなかった)

 

たとえば、タバコの自販機すらなかったため、いちいちタバコ屋さんに行き

「いこい、2箱ね。今日も元気だタバコがうまい!と言ったかどうか知らないが

タバコは煙草屋で、ビールは酒屋で、エロ本は本屋で買うことが当り前の時代だった。

また電車の乗車券(切符)にしても自販機ではなく、映画館で入場券を買うように

窓口で「北千住駅まで大人1枚」というふうにして購入するのだ。すると切符には

今日の日付と行き先に「ハサミを入れて」手渡してくれる。

調査したところによると、自販機が本格的になったのは昭和43年に国鉄(現在のJR)が出改札業務の合理化の

ために、東京の山手線の全駅に乗車券自販機を導入したことが自販機普及のきっかけになっているようだ。

これによって誰もが抵抗なく自販機から物を購入する習慣が一般化するようになったらしい。

 

缶ジュースの自販機にしても、広く普及するようになったのは

昭和40年代の半ばから後半にかけてだと思う。

それまでは「噴水ジュース」と呼んでいたが、てっぺんにはフラスコを逆さにした

ようなガラスの中にオレンジジュースが噴水の如く沸いている、いかにも涼しげな

自販機がスーパーの入り口付近などによく設置されていた。

紙コップは手動式で、購入者みずからが横についてある紙コップを下から

抜き取って自分でセットしなければならない。

重要なことは、紙コップをセットしてから、10円玉を投入しなくてはならないことだ。

10円玉を入れるや否やジュースが出てくるので、セットし忘れた場合、あわてて

紙コップを置いても1/3くらいしか入らない。(←経験あり)

中にはとっさに両手を差し込んで、受け皿にしてジュースを飲んでいたおじさんもいた。

あるいは、紙コップは備えつきのタダだったので、ジュースを飲まずに紙コップだけ

をこっそり持ち帰るおばさんもいた。

 

ジュースはオレンジのみで、他の選択の余地はない。値段は10円で、10円玉以外は受け付けず、釣り銭も出ないローテク自販機だ。

 

(ちなみにこの自動販売機は「オアシス」と名称で、星崎電機という会社が昭和32年から製造していたらしい)

 

 

その後、やがて街角にはびんジュースの自動販売機が増えていった。コーラやファンタ

の他に「ミリンダ」「チェリオ」「ミスターピブ」のあった時代だ。

お金を入れて好みのジュースを1本抜き取るタイプで、一度に2本抜けないかとやって

みたのは、はすぴーだけではないはずだ。

また栓抜きと特製ストロー(3本束ねただけ)を持参して、店のオヤジの目を盗み

こっそり王冠を抜いてチューチュー飲んだのは、悪友K君との連携プレーの成果とも言える。

こちらのページでも書いたように当時、コカコーラの王冠の裏に500円とか書いてあり、

その場で現金がもらえた頃の話だ。

      

さて、自販機をいっきに普及させたのが昭和42年の新100円・50円硬貨の発行だろう。

それまでは100円玉はあったが、大量に流通されていなかったらしい。

また板垣退助さんの100円札もあった。(←これを知っている人は同世代でしょう)

この頃だと思うが缶コーヒーの自販機も登場し、自販機は生活の一部になってきた。

今では、1台の自販機でホットコーヒーと冷たいジュースが同時に買えるということは、

何の不思議でもないが、20年くらい前までは冬はホットのみ、夏はコールドのみであった。

秋の11月になるといつのまにか、自販機の中身がジュースから温かいコーヒーに変わると

冬が近いんだなぁ〜、、、と自販機にも季節感があった。

ちなみにこの”ホット&コールド缶飲料自販機”は日本独自の開発で、世界にも例のない

画期的なものらしい。流通業者はロケーションのスペース効率がアップでき、1年を通して

平均した売り上げを上げられるようになったことも、自販機大国らしいエピソードだ。

 

 

昭和50年代。。。缶ジュースの自販機は一般的になってきた。が、、、よく故障した。

釣り銭が出てこない場合もあったが、むしろ利用者にとって有利な壊れ方をした。

懐古掲示板にも同じ経験者が多くいたが、ボタンを二つ同時の押すと二つ出てくる(雪印)

とか、蹴飛ばすと釣り銭が出てくる(スコール)とか、、、

はすぴーの場合は、100円入れて、オレンジジュースのボタンを押したら、ポンと1つ

でてきてその後、ポンポンと2つ出てきて、おや?と思っていたら、ドカドカドカと

いう音とともに止めどなく出てきたことがある。当時、中学生だったオイラは両手で

持てるだけ持って帰って、速攻で自転車(カゴ付き)に乗って、戻って残りのジュースを

全部カゴに詰めた。全部で40本くらいあったと思う。我が家の冷蔵庫は同じ顔をした

缶ジュースで満たさたことは言うまでもない。(^_^)v

それをみた母親はびっくりして、理由を聞いたけど、「まっ、いいか」とだけ言った。

残念ながらメーカー名は覚えていないが、マイナーなところだったように思う。(でも名糖じゃないぞ)

 

 

最近、見かけることのない懐かしい自販機といえば、かつてラーメン屋やレストラン

においてあったミックスナッツの販売機である。テーブルの上に置いてあり、

100円玉を入れレバーを引くと、ちょうど手のひらに乗っかる量のナッツ類が

出てくる仕組みだ。父親がこれを好きでいつも、買ってくれて一緒に食べた。

大人の味というか大人の世界を垣間みるようなものだった。

今でも”ラーメン&コーヒー”と書いた看板のある地方の喫茶店やドライブインに

立ち寄るとこのナッツの販売機とほぼ同じ仕組みの「星座占いマシン」が置いてある。

やはり100円でレバーを横に引くと、小さな穴から巻き物状の紙が出てきて、今月の

運勢などが書いてある。この占いマシンはガキの頃からあるので、歴史は相当古いと思われる。

 

 

昭和のあの頃の子どもが、自分の手で最初に自販機で購入したものは何だろう?

たぶん「ガチャポン(ガチャガチャ)」と答える人が多いのではないだろうか。

はすぴーの場合、駄菓子屋に置いてあった「ガムの販売機」だ。これはガチャポンと

仕組みは同じで、10円を入れてレバーを回すと丸い大きなガムが2つ出てくる。

色はカラフルで、中身はガランドウ(←西城秀樹はギャランドゥ・・・寒)

そしてガムに混じって当たりのカプセルが出てくることもある。

カプセルの中は何かのニミチュアだったような気がする。

きっとガムの販売機の方がガチャポンよりも導入が早かったと思うのだが、、、

 

 

子供の頃に謎だったのは、薬屋の入り口においてあるコンドーさんの自販機だった。

この自販機を使って買い物をしている人はいない様子だし、”明るい家族計画”

はいったい何が売っているのだろうか知りたくて、母親に聞いたら教えてくれな

かった。中学2年の時にそれはどういうもので、何に使うのかを理解したが、

実物はどんな形をしているのかを見たくて深夜、自転車で隣り町の薬局まで行き、

ドキドキしながら買ったことがある。最初の印象、、、、なんじゃい?こりは、、、

中学生のはすぴーには必要のないもので、中に水を入れてフーセンにして遊んだ。(笑)

 

ところでエロ本の自販機はいつ頃から登場したのだろうか。マジックミラー式に

なっているので、昼間は外からだと何の自販機かわからないのだが、夜になって

内側から照明がともると、「団地妻〜昼さがりのぶら下がり」とか怪しげな

タイトルとえっちな写真が現れるように一応、工夫が施されている。

はすぴー君は学生時代に、社会勉強のため、仕方なく、購入したことがあるのだが、

値段は本によって異なり、えっち度が増すほど高額になっているようだ。

当時、600円で買ったものは、30歳後半と思われる女性がセーラー服を少し

づつ脱いでいくやつで、はっきり言って騙された。(ケチらず800円の方にしておけば良かった)

 

 

最後にとっておきのアンビリバボーネタを紹介しよう。

といっても、まだ最近のことで、はすぴーが会社に入った年だからまだ20年も

たっていない。また自販機ではなく、銀行のキャッシュディスペンサーの話だ。

はすぴーは入社してすぐに経理部門に配属されたこともあり、日々の業務では数字

の単位は「千円」、「百万円」を使う。たとえば9万5千円なら、95千円と書く。

そんなこともあり、銀行のATMでお金を3万円ほど引き出そうと思い、つい

30千円とボタンを押してしまったのだ。当時のアホATMは親切にも

千円札を30枚出してくれた。財布に入りきれなかったことは言うまでもない。(泣)

(現在は30千円とやっても1万円札が3枚出てきました・・・検証済)

 

     

自動販売機が一般に普及するようになってから、約30年の間に様々な自販機が出現し

改良・開発されてきた。たとえば缶ジュースの自販機は在庫が減ってくると、自らが

無線で「そろそろなくなるよー」と教える機械や、”シーモ”というやつはiモード

を使ったものでキャッシュレスで買い物ができてしまう。コイン式洗車機やスピード

写真もある意味では自販機の範疇だろう。

何でもありの自販機は今後、ハイテクという武器をもってどのように

進化していくのか案外と楽しみでもある。


      



●VOW的お笑い自販機コレクター●

山田屋:24自販機

http://www3.famille.ne.jp/~nom/jihanki/jihankiframe.html

面白自販機

http://toymomo.blog61.fc2.com/blog-entry-1045.html

元祖紅丸堂本舗(愛しの自販機様)

http://www.babu.com/~hakko/yosio_oido/index.html

(原稿:2001.12.1)


御参考データ【日本自動販売機工業会より】


 

「あの頃」のセピア色の想い出

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