★パラパラマンガ

 

学生の本分は「勉学」である。だから授業は真面目に受けなければならない。

・・・なんて今だからそう思うのであって、当時のはすぴーは落ちこぼれの

草分けみたいなもので、退屈な授業には「内職」をよくしたもんだ。

「内職」なんていう言葉も今や死語になっているのかな?

要するに授業中に別のことをやることで、たとえばボンナイフで消しゴムを彫刻

したり、今月のTV番組表を作ったり、先生の似顔絵をノートに描いたり、教科書

に重ねてマンガ本を読んだり、「あきすとぜねこ」、次の授業の宿題を思い出して

あわててやったりした。

友人Y君なんて、自分の机を「ゴルフ場」にしてしまったが、これはもはや内職を

域を通り越して「職人芸」と周囲から絶賛された。

(後で職員室でこってり叱られたのは言うまでもない)

先生の方も「こらぁ〜、山田ぁ〜内職すんな!バレてるぞ」なんていう具合で

「内職」という言葉は学校生活の上では一般名詞化されていたと思う。

そしてはすぴーが好きだった内職は「パラパラマンガ」であった。

 

 

パラパラマンガは「ペラペラマンガ」とも言われていて、まさに手作りのアニ

メーションなのだ。方法は実際のアニメーションと同じで、1枚の紙に1つの

静止画(コマ)を描き、少しづつ変化されて、何枚かに描く。そしてパラパラと

紙をめくると、あら、不思議、、、まるで絵が動いているかのように見える。

実に他愛のない遊びであるが、手先の器用さと根気強さがなくてはできないし、

1つの作品を完成させるのに、1時限の授業時間を必要とした。

(もはや授業は遊ぶための時間単位になっている)

パラパラマンガは普通、苦手な科目、嫌いな科目の教科書の左側のページの左下

描かれるという法則があり、これは苦手な科目に対する児童心理学で定義するところの

「回避行動」であり、ならびに「めくりやすさの追究」という人間工学に基づいた

傾向が背景にある。(ウソピョーン)

 

パラパラマンガは、単にマンガを描いてコマ送りすれば良いという単純なものでは

なく、そこにはストーリー性が必要で、最後には「オチ」がなくてはならないのだ。

授業中のうち、1/3は先生の顔を見ながら、授業を真剣に聞いているふりをしながら

マンガの起承転結のシナリオを考えるのである。

パラパラマンガの多くは人間が動いて、殴り合いをしたり、野球をしたりする運動系、

ロボットがミサイルを発射したり、戦車を破壊するSF系、意味もなくゲロやウンコ

や鼻血がでるオエオエ系、美少女が服を脱ぐえっち系、、、色々とあった。

絵は多少、下手っぴであったり、ぎこちなかったりしても「オチ」が良ければ

傑作と賞され、クラスのみんなにその教科書が回覧されたりした。

また「オチ」がなくてもやたらと絵が上手く、木目細かいタッチで滑らかに動くものも

絶品と賞され、教科書が回し読みされた。

ちなみにこの絶品分野で記憶があるのは、いなかっぺ大将の「キャット空中3回転」

マジンガーZの「パイルダーオン」、仮面ライダーの「変身〜ライダーキック」

本物さながらに描いたやつがいたなぁ。

 

あの当時、文房具屋で売られていたメモ帳にもパラパラマンガが画かれたものも

あった。はすぴーが買ったのは「どらねこ大将」「宇宙パトロールホッパー」

だったように思う。さすがに内容までは覚えていないのだけど、メモ帳の全ページを

使ってあり、切り離すことが惜しまれるメモ帳であった。普通のものよりも値段が

高かったように思う。

 

ところで話は変わるが、このパラパラマンガのパソコン版だと思うのが「アニメgif」と

呼ばれるもので、これも1コマ1コマ作り上げていく。はすぴー的には白黒でやや稚拙

なものほど、そのぎこちなさがかつてのパラパラマンガを彷彿させてくれてうれしくなってしまう。

考えてみれば、あの名作「ピングー」だって粘土実写版パラパラマンガだと言えよう。

渋谷ギャルたちがあわ踊りのように両手を上げて踊っている「パラパラ」もオジサンから

みればパラパラマンガをみているようだ。

 

ちなみに今の子どもは、パラパラマンガを知っているのか我が家の娘(小5)に

聞いてみたら、「うん、知っているよ。ぼのぼのにあるもん」と答えられた。

おっおっ、、、パラパラマンガは今のTVゲーム世代の子どもでも知っているのか。

「どれ、その『ぼのぼの』とやらをお父さんにも見せなさいっ!」

※「ぼのぼの」は いがらしみきおの作品でTVアニメにもあったラッコ

振り返ってみれば、パラパラマンガを手にして見るのは何十年ぶりだろう。。。。。

妙に懐かしい気分になりながら、ぼのぼののページをパラパラとめくってしまう

はすぴーであった。

画像がわかりにくいが「ぼのぼの」より

(2000.9.9)

 


「あの頃」のセピア色の想い出 

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