昭和33年はこんな年
オイラが「おぎぁ〜」と生まれたのは昭和33年、西暦1958年だ。もちろん当時のことは何も覚えちゃいない。自分が誕生した年ということもあり、ちょっと調べてみるとこの年は色々なものが世の中に登場したり出来事があってとても興味深い。今回は「セピア色の想い出」にしてはまったく記憶がないが、自分と「同い年」のものたちを紹介してみよう。
時代背景

まず昭和33年という時代背景であるが、岩戸景気と呼ばれるものが始まった年でたとえば物価はこんな値段だ。封書10円 はがき5円  バス15円 ふろ代16円 理髪料金150円 大卒の初任給1万3467円。そしてその頃の平均寿命は男性65歳、女性69.6歳と現在に比べてかなり短い。アンビリーバボーなのは、この年、厚生省が「栄養白書」の中で日本人の4人に1人が栄養不足であると発表したことだ。今の飽食の時代から振り返ればぶったまげてしまう。テレビはまだまだ高嶺の花でこの年、ようやく100万台を突破し、その普及率は10.4%。当時最大の関心事は「ミッチーブーム」と呼ばれるもので、渡辺美智雄の初当選、、、ちゃいまんがな、民間から出た初めての皇太子妃、正田美智子のミッチーだ。自宅まで提灯行列が何度も出るという大騒ぎだったというからすごい。ブームといえば、「ロカビリーブーム」「栃若ブーム」「力道山ブーム」なども昭和33年が絶頂期だったようだ。さらにこの頃、初代、林家三平が 「どうもすいません」とお茶の間にお笑いを届けていた。そして長嶋がデビューする。。。
長嶋茂雄、巨人軍に入団

あのミスターが巨人軍に入団したのが、昭和33年の2月16日だ。長嶋が引退する際の挨拶はこんな出だしではじまる。。。"昭和33年、
栄光の巨人軍に入団以来、今日まで17年間、巨人並びに長嶋茂雄のために絶大なるご支援をいただきまして誠にありがとうございました。・・・"そして「我が巨人軍は永久に不滅です」と名言を残し去っていく。長嶋は開幕戦で金田正一投手(国鉄)に4打席4三振というデビューは実に長嶋らしいし、その年の 9月19日の試合ででっかいホームランをかっ飛ばすが一塁を踏み忘れて「幻のホームラン」になったというのも長嶋ぽくて素晴らしい。。。

アニメ「巨人の星」で長嶋が巨人軍に入団する場面で星飛雄馬が”魔送球”を長嶋に向かって投げるのだが長嶋はまったく動揺しないので、星一徹は「むむむ、彼は大物じゃ」と驚くのだがこれはあくまでもアニメのお話。
この場面のアニメが見れますクリックしてちょ

長嶋といえば、オイラが小学生の頃は「巨人・大鵬・玉子焼き」といってこれらは子どもたちの好きなものベスト3ということだ。それが証拠に銭湯の下駄箱の札「3」(長嶋の背番号)はいつだってゲットすることはできなかった。ちなみにこの昭和33年、野球の神様 川上哲治が現役を引退し、巨人軍前監督 原辰徳が生まれる。おっおっ、若大将の原辰徳とオイラは同い年だったのかいな。
チキンラーメン

日清食品のチキンラーメンはオイラと同い年である。世界初のインスタントラーメン「即席チキンラーメン」が生まれたのは昭和33年8月25日で、日清食品創業者の安藤百福さん(現会長)が48歳の時に発明したそうだ。スープがめんにたっぷりしみこんでいるから、お湯をかけてめんがもどるとスープの味もしみ出てきて、そのままおいしく食べれる。最初の頃は「魔法のラーメン」と呼ばれたそうだ。そのままポリポリと食べてあとでお湯を一気に飲み込む輩も多かったらしい。発売の翌年には年間6千万食、2年後にはなんと、1日120万食が生産されたそうだ。当初ひと袋35円だったのが、すぐに30円に値下げをして10年間30円だったということも庶民にはありがたいことだ。
     チキンラーメンの公式サイト 
発売当時
現在のもの
このキャラクター懐かしい
東京タワー

ご存知、東京のシンボル、東京タワー君はオイラと同い年の昭和33年生まれだ。地上333M。わずか15ヶ月という驚異的な突貫工事の末に完成したのが12月23日。地震、台風の脅威にさらされる東京に造られた鉄塔は「えっへん、あのエッフェル塔よりも高いのだ」ということで当時、世界各国に衝撃を与えたそうだ。NHKの「プロジェクトX」でも取り上げられており、一目惚れした見合い相手に、「鉄塔完成の翌日、結婚しよう」と求婚した話は泣けるのだ。
ところで東京タワーといえば、「蝋人形館」を忘れてはいけない。最近のは知らないがオイラがガキの頃にはマリリンモンロー、ビートルズ、王選手なんかの蝋人形があったり、ギロチン死刑や残酷な拷問などあった。「お前も蝋人形にしてやろーか!」東京タワーのお土産コーナーには今でも腰くだけグッズが豊富のようだが、かつては東京タワーのミニチュアに日めくり式カレンダーのついたものが定番だったのだが今ではこのお土産を作っていないらしい。プレミアムがつくこと間違いなしです。

    東京タワーの公式サイト 
フラフープ大流行

この年に大流行したおもちゃといえば、フラフープだそうだ。もとはオーストラリアの子どもたちの遊びにヒントを得てアメリカのおもちゃ会社が作って、この夏ニューヨークで大当たりし、日本では10月18日に270円で発売され爆発的ブームになった。ピーク時には2秒に1本が売れたというからそのすごさが理解できる。当時、お父さんたちは息子や娘のために会社を休んでデパートに買いに行ったそうだ。そして「やりすぎると腸捻転になる」といううわさが出たこともあり、約2ヶ月で急に下火になった。爆発的な人気モノほど飽きられることが多いのは、その後のアメリカンクラッカーやたまごっちなどにも該当する。しかしフラフープは今でも見かけるし、我が家の写真にもちゃっかりと写っていたりする。
当時、フラフープの大会があちこちであったらしい
スーパーカブ

本田技研工業から8月に発売されたスーパーカブは50ccで最高速度70km、車体はボロボロになってもまだ動くという丈夫ひとすじのオートバイだ。この時代のバイクには珍しくウィンカーをつけていた。ご存知の通り、スーパーカブは今なお現役で、基本設計、スタイルもそのままだという。

♪ チビでも魔法の天才だい 頭も優秀身も軽い 恐いものなどあるもんか ♪  ”ほんとかしら?” by夢野サリー 
 (↑カブの名前の由来はスーパーカブだそうだ)

ちなみにこの年に永遠のヒーロー「月光仮面」がテレビで登場したのだが、その月光仮面が颯爽と乗っていたのが、スーパーカブ。やっぱりその性能のすごさが裏付けられている(笑)
スバル360

この年、昭和33年3月3日(3ずくしですなぁ〜)富士重工業からスバル360、通称「てんとう虫」が発売された。当時の価格で425,000円は庶民にも手の届く価格設定だそうで、スバル360が最初の体臭、、、いや大衆国民車と言われている。曲線を多用したユニークな形状、住居性を重視した室内空間、軽自動車の手軽さなどが受けたそうだ。360ccのエンジンで4人の大人が乗っても最高時速は80km/h以上に達したというからすごい。この車の開発成功物語はNHK「プロジェクトX」にも取り上げられていた。 ♪ 風の中のスバルぅ〜 

この車は今や昭和30年代のシンボルみたいなもので、昭和レトロ系の博物館やテーマパークには必須アイテムになりつつある。ダイハツ・ミゼットと並ぶなつかしい車である。
この年の新商品・ヒット商品

同い年のゲームに エポック社の「野球盤」が8月に1,750円で発売されている。
巨人の長嶋茂雄をCMに起用して、ヒット商品となったようだ。消える魔球バージョンが登場したのはもっと後になってからではあるが、今なお健在なロングセラーだ。
他にはこんなものが、この年にデビューした。
ファンタ(オレンジ・グレープ)[東京コカコーラボトリング]
果汁飲料プラッシー
[武田薬品] 粉末ジュースの素[渡辺製菓]
テトラパック牛乳
[協同乳業、14円]森永カクテルチョコレート[森永製菓]
冷蔵庫用脱臭剤 
キムコ[アメリカンドラッグコーポレーション]
ビクトロン
[日本ビクター](日本初の電子オルガン)
キューピーフレンチドレッシング[キューピー](日本初の市販ドレッシング)
そしてわが国初の
缶ビール[アサヒビール、75円]も登場する。
アーモンドチョコレート
[グリコ、30円]は今では当たり前だが、箱に入っていること自体がまず画期的だったそうで、さらにひと山にひと粒のアーモンド入りという斬新なアイデアに庶民はびっくりしたらしい。おばあちゃんがチョコレートから「チョコレートの種」が出てきたとマジに腰を抜かしたという。
ファッションでは、この年にスキャンティが登場した他、ネグリジェや7色パンティなどの下着のカラー化が進んだそうだが、当時の僕らにはまったく縁のないものであったさ。
売春防止法の実施
この年の4月1日に国法として「何人も、売春をし、又はその相手方になってはならない」と定めた。売春の一切を禁じたのは、歴史上はじめてという。それによって、遊廓は廃絶し、花街も衰退して赤線の灯と全国3万9千軒の業者と12万人の従業婦が消えた。「遊郭」といっても映画や落語でしかその存在を知らないのだが、どんなもんだが一度のぞいてのたかったりもする。

この年、三島由紀夫の「美徳のよろめき」という本が売れ、人妻のよろめきなるものがブームになった。この年まで日本では人妻の不倫なんていうもんは、まずありえなかったらしいのだが、この本の人気がきっかけで、よろめかなければ人妻にあらず・・・とばかりにあっちでよろよろ、こっちでよろよろと浮気が市民権を得るようになったとか。。。そんなことからこの年、昭和33年生まれの はすぴーと同い年のおじさん、おばさんは改めて自分の父親を確かめた方がいいかもね(笑)
一万円札の登場

聖徳太子の一万円札くんが同級生だ。この年の12月1日、高度経済成長を象徴するかのように一万円札が登場した。「万札」という言葉はこの時から言われるようになったそうだ。当時、僕らは「万札」を拝むことは少なく、まさに聖徳太子の顔からはオーラのようなものを感じていた。そして昭和59年に「万札」顔は聖徳太子から福沢諭吉に変わるのであった。

昭和33年とは関係ないけど、伊藤博文の千円札を折り曲げて「クラゲ」を作ったのはオイラだけでないはず。。。。伊藤先生、ごめんなさい。
ほらね、クラゲになったでしょ
流行語・話題の発言
「イカす」(石原裕次郎)
  洒落ているという意味だけど、これって今でも普通に使いますよね?  イカすぜぃ〜このイカスミパスタ

「シビれる」
  感動を表わす言葉。民謡歌手の三橋美智也のファンが使ったといわれる。

「団地族」
  団地に住む人々を指す(←当たり前だちゅーの)。郊外に集合住宅が建てられ、そこに住む人々は周囲の農村からは全く違った人種のようにみえたのでこう呼ばれたそうだ。団地族は中堅庶民層を示す表現でもあった。

「いやーな感じ」
  軽く「いやだわ」という時に、モデルのヘレン・ヒギンズが頻繁に使い若い女の子がまねて流行語になった

その他の世相語として、こんなのがあったそうだ。
 私は貝になりたい  神風タクシー  ながら族  テレビ結婚  トトカルチョ  なべ底不況  
 一億総評論家時代  神様・仏様・稲尾様  圧力団体    白タク  ハイティーン  ベットタウン  
 カシミヤタッチ    低音の魅力  だから言ったじゃないの  すし詰め教室  ネリカン  
 なにはなくとも江戸むらさき  わたしの選んだ人
ヒット曲・流行歌
この年、いろいろなヒット曲があったと思うが、オイラが知っている歌は。。。
  おーい中村君(若原一郎)   ♪おーい中村君 ちょいと待ちたまえ〜 

  嵐を呼ぶ男(石原裕次郎)   ♪おいらはドラマー やくざなドラマー

  星は何でも知っている(平尾昌章)   ♪星は何でも知っている 夕べあの娘が泣いたのも 

  夕焼けとんび(三橋美智也)   ♪夕焼け空が 真っ赤か とんびがくるりと 輪をかいた ホーイノホイ

  からたち日記(島倉千代子)   ♪こころで好きと 叫んでも 口ではいえず ただあの人と

ちょっと意外に思った曲として、こんな歌もこの年のデビューだそうだ
  母さんの歌   ♪母さんは夜なべをして 手袋あんでくれた

  おつかいありさん   ♪あんまりいそいで こっつんこ ありさんと ありさんと こっつんこ
同い年の有名人
最後に昭和33年生まれの有名人をあげてみよう。
まず女性軍では、
 岩崎宏美 石川さゆり 八神純子 森昌子 石川優子 未唯(元ピンクレディ) 
 桜田淳子 西川峰子  中原理恵 久保田早紀  原田美枝子 宮崎美子   
 森下愛子  相本久美子  早乙女愛 愛染恭子  シャロン・ストーン

歌手では歌唱力のある実力派、女優ではエロぽくて、おっぱい大きめといった共通点がある(笑)

また男性軍では
 玉置浩二 辰巳琢郎 時任三郎 チャゲ  陣内孝則 栗田貫一 原辰徳 小室哲哉
 原田真二 ジョン・カビラ マイケル・ジャクソン

おしなべて女にだらしがない感じもしたりする。。。     同い年の有名人リスト
その他、どんなことがあったかといえば、、、、

創刊された週刊誌、女性自身[光文社]週刊明星[集英社] 週刊大衆[双葉社]
 週刊実話[実話出版] 週刊ベースボール[ベースボールマガジン社]など
 創刊ラッシュの年だったようだ。
・今や国土交通大臣、そして「私にも写せますぅ〜」の扇千景が中村扇雀と結婚。
・企業ではイトーヨーカ堂、丸大食品、アラビア石油、全日空が創業。
 東京通信工業が社名を現在のソニーに変更
・江崎玲於奈が、画期的な半導体「エサキダイオード」の理論を発表したのがこの年
 だが、日本ではほとんど注目されず、海外で絶賛を浴びたとのこと。
 (1973年にノーベル賞を受賞)
・アメリカでは政府機関としてNASAが発足。初の人工衛星「エクスプローラ1号」
 打ち上げに成功している。
・イギリスではフックス隊が史上初の南極大陸横断に成功
・天災では、阿蘇山がドカーンと大爆発し、12人の方が亡くなっている
 狩野川台風が死者1157人、全半壊家屋4708戸という猛威をふるった
・世界初の海底トンネル「関門トンネル」が開通。全長3461m、着工以来21年。
・家電ではトランジスターラジオ、電気炊飯器、電気こたつが人気となり、
 世の中的には8ミリ映写機やジュークボックスも流行ったらしい。
・チューイングガムやタバコの自動販売機が登場
・東京の公衆電話に110番、119番が取り付けられる
・子どもたちの間に「オネストジョンごっこ」が流行、事故も多発し、東京だけで
 も8件もあった。(オネストジョンごっこについては、こちらを参照
・東海道本線、東京〜大阪〜神戸間に特急「こだま」がデビュー。
 東京〜大阪間を6時間50分で走った。
・日本で初めてステレオが発売された。もちろん真空管式だ。このキャッフレーズは
 「音楽を愛する人には悪い人はいない」
村田英雄が「無法松の一生」でデビュー。デビュー時に「俺が村田だぁ〜」と言ったか
 どうかは知らないが、その村田先生も2002年6月13日、73歳で亡くなった。(合掌)
・第一回文化勲章受章者で日本画家の横山大観(89歳)が死亡。脳を東大医学部の
 標本室に保管してあるそうだ。(合掌)

主な出来事
1月20日 インドネシアと平和条約・賠償協定調印。
1月31日 米国が人工衛星エクスプローラー1号打ち上げ成功。
2月1日 エジプト、シリアが合併し、アラブ連合共和国成立。
2月8日 日劇で「第1回ウエスタンカーニバル」開催。
2月24日 「月光仮面」放送開始
3月3日 富士重工「スバル360」を発表。
3月9日 世界初の海底道路関門トンネル開通式。
3月27日 ソ連ブルガーニン首相辞任、フルシチョフ第一書記が兼任。
6月1日 フランスでド・ゴール内閣成立。
6月16日 日米・日英原子力一般協定調印。
7月14日 イラクでクーデター成功。
8月25日 日清食品が「即席チキンラーメン」を発売。
9月12日 藤山・ダレス共同声明(安保条約改定など)
10月5日 フランスで大統領権限強化の新憲法公布(第五共和制発足)。
10月8日 警察官職務執行法改正審議で衆議院大混乱。
11月1日 東京-大阪間で特急こだまの運転開始。(所要時間6時間50分)。
11月10日 浅間山大爆発
11月22日 自民・社会両党首会談、警察官職務執行法審議未了で妥結。
11月27日 現天皇・皇后両陛下のご婚約発表。
12月01日 一万円札発行
12月23日 東京タワー完工式








「あの頃」のセピア色の想い出 



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(原稿:2003.11.24)
少年にだらしのないやつも(笑)