こだわりのロングセラーNo.9

 かっぱえびせん


三省堂『大辞林 第二版』によれば、何かの作業もしくは動作をしていて、やめたい
のだが「やめられない」、止めようとしているのだが「とまらない」ことを
【かっぱえびせん状態】という、、、わけないよね。(ウソピョーン)
しかし、私たちの日常生活において、やめられない・とまらないことを「あーん、
もう、イライラするわ。かっぱえびせん状態よ!」といえば、会話が成り立つくらい
もはや形容動詞として確立しているといえる。
♪やめられないとまらない〜カルビーかっぱえびせん♪のCMの威力だ。

かっぱえびせんは
昭和39年(1964)1月に1袋50円で発売された。
東京オリンピックの年のことである。スナック菓子が約40年ちかく売り続けられ、
しかもいまだに人気商品なので、こだわりのロングセラーと言ってもいいだろう。
子供のおやつとしてだけではなく、ビールのつまみにも非常にあう。
「ポリポリ、、、こいつって本当にやめられないんだよな〜ポリポリ」とかいいながら
手がとまらない魅力がある。案外、大人向けの味でもあるのだ。
かっぱえびせんはいまや、日本だけでなく中国や韓国、東南アジアでも人気商品に
なっているそうだ。中国の小さな村でも
「ニーハオ、コレハオイシイアルヨ。
ヤメラレナイアル、トマラナイアル、シェイシェイ」
といっている姿が目に浮かぶ。

さて、かっぱえびせんの誕生についてはカルビーのホームページに詳しく記載されて
いたので、今回の調査は楽ちんであった。以下、そちらを参照してください。
では、さようなら。。。。と終わってしまおうかなぁと思ったけど、5ケ月ぶりの更新が
これだけではあまりにも手抜きなので、少々、整理してみよう。


          
アジアでも人気のかっぱえびせん


カルビーは明治38年(1905)、現名誉会長の先々代の松尾寿八郎が広島で
「柿羊羹」を製造したのが始まりの会社だ。昭和24年(1949)当時の社名は
松尾糧食工業というなんともいかめしい名前で、キャラメルや飴菓子を製造していた。
(→1954年
カルビー製菓株式会社→1973年カルビー株式会社に変更)
"カルビー"とは、同社HPによれば、カルシウムの"カル"と、
ビタミンB(ビー)のビーを組み合わせてつくられた言葉だそうだ。
うーん、とってもヘルシー♪

かっぱえびせんの生みの親である初代社長の松尾孝さんはもともとエビの天ぷらが
大好物であった。広島で少年時代を過ごした松尾さんは、川で釣った生のエビを
そのままかき揚げにして食べたおいしさが忘れられず「なんとかあの味をお菓子に
できないものか」と考え続けたという。そして瀬戸内海でとれる小エビに着目し、
試行錯誤を繰り返し、独自の製法によりついに完成したのが「かっぱえびせん」というわけだ。
つまり、「かっぱえびせん」の原点はエビを丸ごとかき揚げにした天ぷらにあった。

テレビCMでは
♪かしこい母さん、かっぱえびせんとも歌われてが、エビを
丸ごと使っているので、カルシウムもたっぷりという意味だったそうだ。
普通、スナック菓子は母親から「こんなもんばっかり食べていないで勉強
しなさい!」と槍玉にあう運命なのだが、この宣伝文句がきいたのか
「うふ、私は
かしこい母親よ。栄養満点のかっぱえびせんなら許しちゃいますぅ〜」
と親の支持を
得ることに成功した。(ホンマカイナ)
はすぴーも小学生の時、遠足にはリックの中に入れていた。おやつは200円まで
の当時、50円のかっぱえびせんはわりと貴重ではあったが、山登りなんかする遠足
にはエビのカルシウムは必要な栄養源であり、それは
エイトマンのタバコ型強化剤
宇宙エースのエネルギー補給ガムのようなものだった。(ホンマカイナ)
かっぱえびせんを2本口に加えて、どうだドラキュラだぞ、、、俺なんかペギラだもんな
、、、とやったのはまだましの方で、鼻の穴に入れて遊んだやつも多い。
さらにはえびせんをつぶして粉末にした食べる者もいた。
長年つきあっていると色々な想い出もあるのが食べ物との正しい付き合い方だ。


さてここで素朴な疑問をもつ。「えびせん」とはエビ入り煎餅のことだろうが、頭の
"かっぱ"とは何ぞや?発売当時はエビの他に"きゅうり"でも含まれていたのだ
ろうか?エビとかっぱは相性がいいのかなぁ、、、などと考えてしまう。
調査によれば、昭和20年代に人気を博した
「かっぱ天国」という社会劇画は
一世を風靡していたようだ。その作者の
清水昆(うれしいとメガネが落ちる大村昆
ではない)画伯に依頼して「かっぱ」のシンボルマークをつくってカルビーの
キャラクターとして使用したらしい。
   

清水昆さんについては、黄桜酒造が提供する黄桜記念館にプロフィールが記載されていた。
ん?まてよ?黄桜といえば・・・「カッパッパ、ルンパッパ、キーザクラー」
(かっぱの歌)で知られる清酒メーカーではないか。ということはどうやら清水昆
さんはカルビーと黄桜酒造と提携していたようだ。



(ちなみに、現在、親しんでいるこのちょっとエロぽい黄桜のキャラクターは
2代目にあたる小島功氏のものだ)



当時の製品名は
「かっぱあられ」「かっぱあめ」など、すべて頭にかっぱがついたと
いう。なかなかヒット商品に恵まれなかったカルビーだが、えびせんの大ヒットで
急浮上。えびせんの発売6年後、昭和45年(1970)にはカリフォルニア州ロサン
ゼルスに、カルビーアメリカを設立し、スナック食品としては
日本初のアメリカ進出
を果たした。さらには昭和50年(1975)に
ポテトチップスを発売し、
今やスナックメーカーとして確固たる地位を築くことになった。

はすぴー的には、かっぱえびせんは
牛乳といっしょに食べることをお薦めする。
お茶やコーヒーもあうが、やはり牛乳とあの塩味がマッチするのだ。
やめられない・とまらない、かしこいはすぴーかっぱえびせん♪といいながら
1袋いっきに食べると相当、腹にくる。ゲップも出るし、屁もでるという難点も
あるが、牛乳か
「のむヨーグルト」とぜひいっしょに食べてもらいたい。

ところで、今から1〜2年前に流行ったと思うのだが、
「かっぱえびせんの秘密」
というものをご存知だろうか。かつて
「コアラのマーチ」で"まゆげコアラ"だの
"ラッパコアラ"だの"盲腸痕コアラ"だのが流行ったように、それの
かっぱえびせん版だと思って欲しい。
もっとも「コアラのマーチ」は中身を開けてみないと何が入っているかわから
ないが、かっぱえびせんはパッケージをよく注意してみるとエビが携帯電話をして
いたり、ワイングラスを持っていたりと、お茶目で楽しい。
「かっぱえびせんの秘密」について詳しいサイトがないかなぁ、、、と思って
検索してみたら、ありました、ありました、しかもお住いも比較的ご近所さん!
リンクの了解をいただきましたので、ご紹介させていただきましょう。

 
えりりん帝国〜「オススメ食品」より
l
  
  
携帯電話を持っている   
   こっちはビールジョッキーだ

食品業界ではひとつの商品がヒットすると、味付けのバリエーションを追加させる
「水平型横展開多角化 二匹目のどぜう追加式アドオン多彩戦略」と呼ばれる方法に
打って出ることが多い。カルビーではこれをコードネーム
"二匹目のエビ戦略"
と命名して以下のバリエーションを発売した。
ごま油風味、えびちりソース味、さくさくチーズ味、おつまみ海老、
ピリピリマヨネーズ味、ローストガーリック味、辛一味醤油味、松茸風味、
韓国のり味、香港バーベキュー味、タイ スパイシーヤンミー味、タイ トムヤム味
紀州の梅 焼きのり風味、本わさび味、辛口たまりしょうゆ味、荒挽きえびせん

    ↑
こうなると、
ウルトラマン仮面ライダーも真っ青である。
(期間限定のものもあり、現在、発売されているか否かは不明)


カルビーかっぱえびせんのお楽しみ缶


ここで無理やり、結論に導き出すと、ロングセラーの秘訣として
本家、定番の
えびせんを主軸として安定ベースを築きつつ、一方では消費者の味覚を
飽きさせないために横展開の努力をしている
ということだ。これを一般には
「T型戦術」と呼ばれているが、かっぱえびせんはまさにその代表といえよう。

  
    


  
かっぱえびせん「サザエさん」バージョン・・・磯野家の家系図入りというのも笑えるぞ

カルビー株式会社のホームページ
         

(原稿:2002.8.17)


 
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