こだわりのロングセラーNo.2

『丸美屋〜のりたま』

 

  
ふりかけ界のロングセラーといえば、丸美屋食品の「のりたま」でしょう。
1960(昭和35)年の発売以来、圧倒的なシェアを維持し続けているそうだ。
「のりたま」が登場した当時の日本の食卓はまだまだ貧しいもので、白飯に味噌汁、
めざしもつけば、まだいい方という家庭も珍しくなかったらしい。
(はすぴーは昭和33年生まれなので母から聞いた話だが)

そんななか、のりたまが画期的だったのは、名前の通り「のりと卵」をつかった
ことである。当時、のり、卵にはまだ高級品のイメージがあったらしい。
そこで、丸美屋食品の社長さんは「旅館の朝食のような贅沢なおいしさを家庭でも
手軽に味わえるような食品を開発しよう」〜そう思い立って作られたのが「のりたま」
の誕生というわけだ。

ところが、卵焼きのようなふっくら感を乾燥品に加工するのは難しく、試行錯誤を
続けた結果、熱風による乾燥法を開発し、やわらかな乾燥卵が生産できるようになった。
それをふりかけに使ったことでリッチな感じが出たとのことだ。(丸美屋食品のHPより)

 
昭和35年にのりたまが発売されると、丸美屋は普及しはじめていたテレビにいち早く
CMや番組を提供した。アフタヌーンショーで有名な桂小金治の「面舵いっぱい、
のりたまで3杯!」のCM効果で売り上げも急激にアップしたらしい。
そして、本格的に売れはじめたのは、発売から3年後、1963(昭和38)年からである。
当時の人気アニメだった「エイトマン」のシールをおまけにしたところ、爆発的に売れ
はじめたのだ。そういえば、はすぴーもエイトマンシールを手に入れるために、
「のりたま」をどんどんふりかけたことを思い出す。”ふりかけ”というよりも
”かけかけ”という感じで、山のようにかけて、それをはしでごちゃごちゃに混ぜる。
見た目は汚いが、これがとっても美味かったのだ。でも、母親から叱られたけどな。
そういえば、去年(2000年)「のりたま」の40周年記念ということで、懐かしい
最初のパッケージで『復刻版』が出た際に、エイトマンシールもついていた。
こちらの画像はお友達のNet-Cupidさんからお借りしました

さて、エイトマンシールがなくなったあとも、「のりたま」は売れ続けている。
なぜ、ロングセラーになったのだろうか?考えてみれば、ふりかけ業界はもともと
ロングセラーの成立しにくい市場といえる。米や野菜と違って、三度三度食べなけ
ればならないという食品ではないからだ。「けっ、俺は朝・昼・晩とふりかけごはんで
ないと気がすまないたちなんだい」という輩は相当、珍しい。
ところで世間には「マヨラー」と呼ばれ、何の料理にもマヨネーズをかける人たちがいる。
野菜やパンはもとより、うどんやごはんにもマヨネーズをかけるらしい。(おえっ)
しかし、ふりかけはごはん以外にかけるものはないのだ。
「けっ、俺はラーメンと焼き魚、肉じゃがには必ずふりかけをかけないと気がすまないたち
なんだい」という輩は相当、珍しい。
したがって、これらの点を考えると、ロングセラーになるのは、難しいジャンルともいえるのだ。 


 
この難しい世界で「のりたま」が売れつづけてきたのは、
次の2点がその理由でないかとはすぴーは分析した。
(1)消費者の好みの変化に対応して、こまかく味を変えてきた点。
   丸美屋食品のHPによれば、「のりたま」は卵の種類を変え、ときには減塩化し
   あるいはカルシウムを混ぜるなど、世の中の変化にあわせて、のりたまも"進化"し
   つづけているらしいのだ。
   さらにパッケージもどんどん変わってきている。最初は、濃い緑だったが、色はだん
   だん薄く、派手になってきている。これはスーパーマーケットの陳列台でも、目立たせる
   ためであろう。トレードマークのニワトリにしても、徐々にスマートになってきている。(笑)
 


(2)時代の人気アニメのキャラクターを採用して、消費者である子どもたちをターゲットに
   している点。エイトマンからはじまり、最近では「スヌーピーふりかけ」を発売している。
以下、丸美屋と「のりたま」が採用したキャラクターの変遷

昭和39

エイトマン

昭和63

ビックリマン

   40

スーパージェッター

平成 1

おそ松くん・新ビックリマン

   41

おそ松くん

    2

ジャングル大帝・ちびまる子ちゃん

   51

がんばれロボコン

    3

まじかるたるるーとくん

   54

ルパン3世

    4

スーパービックリマン

   56

Dr.スランプ アラレちゃん

    5

クレヨンしんちゃん・ポコニャン

   57

忍者ハットリくん

    6

セーラムーンS

   58

パーマン

    8

忍たま乱太郎・ゲゲゲの鬼太郎

   60

オバケのQ太郎

    9

キューティーハニーF

   61

ドラゴンボール

   10

名探偵コナン

   62

メイプルタウン物語

   13

スヌーピー

 
以上をまとめると”細かく変化し、対応すること”――これは、ロングセラーの必須条件の
ようである。ふりかけを食生活に確立させるまでに至った「のりたま」がそれを証明している。

   
丸美屋食品株式会社のホームページ

(原稿:2001.8.31)


 
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