懐かしい文房具あれこれ【筆箱編】

アーム筆入れ(サンスター)

はすぴーはなぜか文房具屋さんに入ると、妙に興奮してしまう。

ついつい、珍しいものはないかと探してしまったり、必要のないものを買ってしまうのである。 

さて、今回ははすぴーが小学生の頃に流行った文房具について書いてみよう。。。。

まずは筆箱編から、、、

 

【ゾウが踏んでも壊れない筆箱】

はすぴー世代の人なら、記憶があるでしょう。サンスターの「アーム筆入れ」

キャッチフレーズでは「象が踏んでも壊れない」という筆箱。

テレビCMでは実際に、象に踏ませ、「わぁ〜本当に壊れていないや」と男の子に

わざとらしいセリフをはかさせていた。

 

この筆箱の誕生の裏話として、その昔、暴走族がカミナリ族と呼ばれて

いた頃、彼らは交差点の信号機を石をぶつけて、割って喜んでいたらしい。

そこで警察は、特殊な硬化プラスチックに換えて、対抗したらしい。

 

この話を聞いたサンスターのとある社員が、この素材を使ってめちゃくちゃ

丈夫な筆箱を作ることを提案し、これが「アーム筆箱」となって世の中に

登場したそうだ。

この筆箱のヒット以来、業績を伸ばしたサンスターは本社ビルを建てるまでに

成長し、この提案をした社員はのちに社長嬢令と結婚し、現在では専務にまで

昇進しているらしい。(うそのような本当の話)

 

しかし、なぜこんなに丈夫な筆箱が必要だったんだろうか?

はすぴーの友人K君は、「どうしてもこの筆箱を壊してやるぅ〜」と言って

ナイフで切り込みを入れ、ついには空手チョップで真っ二つにした。

「がはっははは、俺はゾウよりも強いぞう」などと豪語していたが、翌日は

接骨医院に通うことになり、「おそるべしアーム筆箱」とクラスの全員が

思い知らされた。。。。

 

ビジネス社会では、必ずヒット商品に便乗する企業や商品が出てくる。

いわゆる「二匹目のどじょう、狙っちゃいます(人の企画をパクちゃいます)戦略」

ぬぁんと、その筆箱のキャッチフレーズは『サイが踏んでも壊れない』、、、、

これをパクリと言わないで、何と言おう。

しかし、「サイが踏んでも」が登場した頃には、すでにこんなに丈夫さだけが

取り柄の筆箱はユーザーから見向きもされなくなっており、この商品を出した某中小

企業は倒産してしまったと聞いたことがある。

 

教訓:人マネでヒット商品は生まれない

 

 

【マグネットロック筆箱】

 

アーム筆箱の流行から、約1年後、たかが筆箱といえども、付加価値をつけることで

思わぬヒットが生まれることを学習した文房具業界の中から、次なるヒット商品が

誕生した。・・・「マグネットロック付き筆箱」

 

すなわちマグネット(磁石)によって筆箱の開閉が可能となる優れもの。

秘密のメモや硬貨、ちょっとした宝物などは、この筆箱を「金庫」の代用品として

しまうことができるのであった。

当然、金庫部分と鍵部分は分離されており、鍵であるマグネットがないと、その

筆箱の開閉はできないのである。

 

しかし、このロック機能の最大の欠点は、磁石さえあれば、誰にでも簡単に開ける

ことができるのであって、事実上、ロックの役割は形式だけのものであった。

とは言え、金庫の代わりにある筆箱は、特に女子の間で支持されて、かなりの勢いで

普及し、こうして「懐かしいもの」の中に加えらるほど有名なのであった。

 

教訓:だれにでも開けられるものは金庫とは定義できない

 

 

【鉛筆が飛び出す筆箱】

 

変わり種の筆箱として、忘れていけないのが、「鉛筆が飛び出す筆箱」である。

ふたを開けて取り出す、という常識をくつがえし、ボタン一つで鉛筆が「ポン」と

出てくるこの筆箱は、なかなかの優れものであった。

この頃、「扉をあけないで冷たい水が飲める冷蔵庫」も流行っており、日本文化に

横着、手抜きが芽生えてきた時代なのではなかろうか?

 

しかし、この筆箱は ひょんなことから先の尖った鉛筆が勢いよく飛び出し、「危険」

であるという「全国消費者危険ですわ連合協会組合」← (ウソ) からクレームが入り、

惜しまれながらも、製造中止になったらしい。

 

教訓:何ごとも横着をしてはならない。楽を求めてはいけない。

 

 

【やたら扉の多い筆箱】

 

はすぴーが中学生の頃の不良は「ボンタン」という逆三角形をしたスボンがあり、

「タック」というポケット?の数が多いほど不良の象徴であった。

不良の初心者はスリータック、フォータックであったが、番長クラスになると

エイトタックで、「わいがエイトタックでごわす」という貫禄があった。

 

そして筆箱の世界にもポケット?ではなく「扉」(ふた)の多いものが流行する

ようになった。

この扉の中は消しゴム専用。こっちはボールペンの扉。そしてこっちは鉛筆以外の

その他の収納場所、、、、など全部で7つくらいの扉があったように思う。

 

遊び感覚としては、面白いのだが、どの扉に何を入れたか覚えるのに時間がかかり、

急いでいる時に、赤鉛筆を出そうとして、定規が出てきたりすると投げつけたくなる

欠点があった。

 

教訓:数が多けりゃ、いいと思うのは誤りである。

 

 

【多機能万能型 筆箱】

 

かつて「スパイ手帳」というものが流行っていたが、この筆箱もスパイ路線のもので

隠し小箱があったり、虫めがね、メジャーなどを装備していた。

そして武器としては、前述の飛び出す鉛筆まであって、他には覚えていないが

色々な機能を備えていて、価格も高く、万能筆箱と子どもたちの間では羨望の

筆箱ではあったが、「全国消費者筆箱はおもちゃではない連合協会組合」←(ウソ)

からクレームがあり、これも一時的な流行で幕を閉じてしまう運命であった。

 

教訓:多芸は無芸。文房具業界は玩具業界と一線を画すべし

 

 

以上、思い付く筆箱だけでも、これだけバラエティーに富んでおり、文房具とはいえ

実に愉快なものであったと感心させられる。

ところで最近の小学生はどうだろうと思って、長女(小学5)の持っている筆箱を

みたところ、シンプルシンプル、実に味気のないものを使っている。

そして学校では『カンペン』(缶のような鉄でできた筆箱のこと)は禁止されている

とのこと。理由は机から落とした時にうるさい音がするから・・・。

うーむ、時代なのであろうか、少しつまらない気もしないでもない。

 (原稿:1998.10.2)

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 筆入れの画像は「ねこかめ」さんからお借りしました。