懐かしのテレビCM

(昭和30年代編)




カステラ一番、電話は二番・・・伊東に行くならハトヤ・・・男は黙ってサッポロビール
ツンツンツノダのテーユー号
・・・パンシロンでパンパンパン・・・
別に覚えようと思って覚えたわけじゃないが、誰もが知っているこれらCMのフレーズ。
テレビで繰り返されるCMソングは、ふと気がつけば口ずさんでいることさえあるくらい
私たちの日常生活に浸透している。よく「CMは時代を映し出す鏡であると表現される
ことがあるがまったくその通りだと思う。
先日もテレビで♪だぁれもいないと思っていてもどこかでどこかでエンゼルは・・・の
懐かしいCMソングが流れていた。これは森永製菓の「エンゼルは いつでも」という
曲でサトウハチローが作詞し、昭和26年に作られて以来、今なお愛されているCM
ソングだといえよう。
さて、今回は"懐かしのテレビCM"を振り返ってみよう。はすぴーと同世代の方なら
ほとんど覚えているものばかりだろう。まずは「昭和30年代編」から。
(♪マーク&リンク部分ではCMソングが聴けます)


1953年(昭和28)
この年の8月28日にテレビCMが最初に放映された。
日本テレビ開局1日目に精工舎(現:セイコー)の正午の時報がテレビCM第一号。
なんとネジの巻き方などを説明しているCM。
(テレビCM第一号については、テレビCM史研究拠点に詳しく書いてあります)
そういえば、かつて時報に合わせてSEIKOのCMが流れていたが、最近はまったく
見なくなったなぁ・・・

    



1954年(昭和29)
ワ・ワ・ワ ワが3つ(ミツワ石鹸)
♪ワ・ワ・ワ ワが3つ ワ・ワ・ワ ワが3つ ミツワ ミツワ ミツワ石鹸
商品名の繰り返しソングの草わけだろう。シンプルですなぁ〜
オイラ(昭和33生)が生まれる前からこのCMがあったのか〜・・・ということは
何度かリメイクされていたと思う。


ミルキーはママの味(不二屋)
あまりにも有名なフレーズだが、こんなに昔からあったとは驚き。
ちなみにミルキーを食べたら、ママを食べた時と同じだったというホラーちっなな
CMでないことは言うまでもない(←当たり前だっちゅーの!)

            



1955年(昭和30)
ゴホンときたら龍角散(龍角散)これまた懐かしいが、いまなお耳にするCMだ。
龍角散のHPを覗いてみたら、トップページにいきなりこのフレーズ。もう龍角散といったら、これっきゃない!といったノリだ。のちに龍角散のCMに"せき・こえ・のどにクララ"というのもあった。
クララが立った!・・・といったのはアルプスの少女ハイジ(←お呼びでない)

     



1956年(昭和31)
明るいナショナル(松下電器)
♪明る〜いナショナ〜ル、 明る〜いナショナ〜ル、ラジオ、テレビ、な〜んでも、ナショ〜ナ〜ルこの「ラジオ、テレビ」の箇所に時代を感じられる。今だったら、DVDレコーダー、ビデオカメラプラズマテレビてなとこか。 ご存知「ナショナルキッド」はナショナル(松下電器)がスポンサーだ。

         ←しちさん分けのナショナル坊や
  



1957年(昭和32)
クシャミ3回 ルル3錠(三共)
三共から風邪薬「ルル」発売。20錠入100円だというから、今の経済感覚だと安い。「ルル」はラテン語で「鎮める、治す」という意味だそうだ。「クシャミ3回、ルル3錠」というキャッチ・フレーズは今だに現役だ。

その他、この年のCMにはこんなのがあった。
パンパンパンビのパンビタン(武田薬局)
ジンジン、ジンタン、ジンタカタッタター(仁丹)



1958年(昭和33)
リボンちゃ〜ん、ハーイ(リボンジュース)
こんなCMだった。
リボンジュースや三ツ矢サイダーはお客様用に出されるもので簡単に飲めるものでは
なかった。お客様が飲み残したものをよく飲んだものさ。リ・ボ・ン
「チャコちゃん、ハーイ」という番組もあった。(←関係ないか)


キャンロップの歌(佐久間製菓)
♪キャン、キャン、キャンロップ サクマのキャンロップ♪
フルーツとヨーグルトの2種類 があった。ヨーグルト味のあの甘酸っぱさは
キャンロッピーな懐かしさがある。遠足に誰かが必ず持ってきていた。
タイヤのダンロップと因果関係がないことを補足する(寒〜)

「桃屋」の三木のり平の江戸むらさきシリーズがはじまったのもこの年で、第一号は
「助六篇」。「ドラマのような起承転結がはっきりしているCMが作りたかった」と桃屋の
社長のコメント。桃屋のサイトで懐かしのCMが見られる。

またアンクル・トリスが登場したのもこの年だ。

         
  



1959年(昭和34)
おもちも入ってベタベタと安くてどうもすいません(渡辺即席しるこ)
この頃、林家三平はお茶の間のアイドル的存在だったようで、CMにも登場していた。
その他、三平師匠のCMでは「ニキニキニキニキ、二木の菓子」なんていうのもあった。
このCMを今年(2004)6月には息子の林家いっ平が受け継ぎ、『安くてどうもありがとう』
と少しだけセリフを変えるそうだ。


ヤン坊マー坊
ご存知「ヤン坊マー坊天気予報」 ♪僕の名前はヤン坊、僕の名前はマー坊♪
二人は双子で、ヤン坊がお兄さん、マー坊が弟となっている。


ひと粒で2度おいしい(江崎グリコ・アーモンドグリコ)
一石二鳥のことを広告業界では「ひと粒で2度おいしい」という・・・かどうかは
知らないが、このキャッチコピーの知名度は非常に高く、日常生活においても普通に
使用される。江崎グリコのCM戦略は抜群で、たとえば鉄人28号の主題歌の最後に
♪ビューンと 飛んでく 鉄人28号 グリコ、グリコ、グーリーコー と
スポンサー名を挿入することで、僕らは鉄人の歌の一部だと思って合唱していた。
そもそも、ジャンケンしながら遊んだ「グリコ」って何なのよ!パーはパイナップル、
チョキならチョコレイトはわかるが、なんで グーはグリコなのさ。
これは江崎グリコのCM戦略に間違いない!(←長井秀和もいっている)


かっぱの唄(黄桜酒造)
♪カッパッパ、ルンパッパ、キーザクラー
楠トシエの歌うこの曲は聞いているだけで、心がハイになってくる。

     
  



1960年(昭和35)
カステラ1番電話は2番(文明堂)
あまりにも有名なCMなので説明は不要でしょう。そして今なお、バージョンアップしつつも、
そのオリジナリティは変わりない不朽の名作といえよう。
こちらの公式サイトで歴代のCMが動画で見れます。


くりくり三角小さなドロップ(ヴィックス)
楠 トシエが歌う「ヴィックスの唄」を覚えている人も多いだろう。
軽快な歌なので、一度聞く頭の中で何度もリフレインされる。
ヴィックスから胸に塗る「のまない かぜ薬」ヴェポラップなんていうのもあった。


渡辺のジュースの素の歌(渡辺製菓)
♪ワタナベの、ジュースの素です、もう一杯。憎いくらいにうまいんだ〜
歌うはエノケン。”あなたのブルース”は矢吹健。"幸福の黄色いハンカチ"は高倉健。
"ザ・ガードマン"は宇津井健。そしてこれは狼少年ケン(笑) 
このCMソングの後に、「10杯飲んでも50円、一袋たったの5円」とキャッチコピーが
あった。これはよくマルチ商法が使う「単価で示せば安く思わせる作戦」と同様だ。
ジュースの素を舐めると舌がオレンジ色になる。冷凍庫で凍らせてシャーベットをよく作ったもんだ。

     
  



1961年(昭和36)
伊東に行くならハトヤ(ホテルサンハトヤ)
♪伊東に行くならハトヤ 電話はヨイフロ(4126) ヨン・イチ・ニー・ロク
ヨン・イチ・ニー・ロクやっぱり決めた、ハトヤに決めた 伊東に行くならハトヤ ハトヤに決めた!

これまた今なお継続している有名なCMだが、よーくこの歌を聴くと
なぜ、ハトヤに決めたかのかその理由がまったくわからない。
ちなみにこの曲は、作詩:野坂昭如 作曲:いずみたく というからすごい。
♪前のうーみ 後ろはハトヤの大漁苑・・・なんていうCMもあって
「釣れば釣るほど安くなる三段逆スライド方式」も知っている人には懐かしいだろう。


トリスを飲んでハワイへ行こう!(サントリー)
昭和33年にアンクル・トリスが登場し、その3年後にこのキャンペーンが企画された。
当時、海外旅行は庶民にとって夢のまた夢でハワイは「憧れのハワイ航路」
アップダウンクイズでも優勝の賞品はハワイ旅行だった。
今じゃ、「ちょっくら週末にハワイまで・・・」といった感じだけどね。


弘田三枝子の歌ったレナウン「ワンサカ娘」もこの年に登場。
♪ドライブウエイに春が来りゃ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ
プールサイドに夏が来りゃ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ

作詩・作曲は寺内貫太郎の小林亜星で彼の出世作である。
ちなみに当時のCMソング四天王は、楠木トシエ、天地総子、中村メイ子、弘田三枝子
といったところでしょう。

この年、バヤリースオレンジにチンパンジーが出てきたり、外人タレントのCM第一号
としてトリオ・ロス・パンチョス(森永製菓)が登場し、続いてE.H.エリック(服部時計店)も耳を動かした。
またサランナップの「見えない香りも包みます」は上手いキャッチコピーだと思う。

       
  



1962年(昭和37)
マーブル、マーブル、マーブルチョコレート ポン!(明治製菓)
♪このCMに出た上原ゆかりは「マーブルちゃん」と呼ばれ国民的アイドル?のはしりだった。
アイフルに出ているチワワが「アイフル犬」と呼ばれ人気者になっているようなものだ。
上原ゆかりはNHK「ものしり博士ケペル先生)」や実写版「サザエさん」の
ワカメ役として出演していたが、今ではどうしているのだろうかと思い、ネットで
検索してみたら同姓同名のAV女優にヒットしてしまった・・・(汗)
現在、47歳(昭和31生)でカメラマンとして活躍しているようだ。


スカッとさわやかコカコーラ
この年、外貨規制等が完全自由化に伴ってコカコーラが輸入され、このお馴染みの
キャッチコピーが世の中に登場する。でも、オイラが最初にコカコーラを飲んだ時
スカッというより「オエッ」という感じで薬のような味がした覚えがある。
よくおならをした際に「スカッとさわやか」なんて言ってごまかしたもんだ。(笑)


チョチョンのパ(船橋ヘルスセンター)
これは関東地方の方にしかわからないのかも知れないが、これを聞くとむちゃくちゃ
懐かしいでしょ。。。正式な曲名は「長生きチョンパ」といい、楠 トシエが歌っている。
♪長生きしたけりゃちょとおいで、チョチョンのパ、チョチョンのパ


光る光る東芝
松下電器の♪明る〜いナショナ〜ル のCMソングに対して、東芝は光って回って走った。
♪ 光、光る東芝♪ 回る、回る東芝♪ 走る、走る東芝♪ー
   みんな、みんな東芝、東芝のマーク


その他、この年には弘田三枝子が歌う♪アスパラで生き抜こう(田辺製薬)なんていう
のがあった。またこの頃は白黒テレビが普通であったが、トヨタ自動車からカラーCM
第一号(トヨペット・コロナ)が始まった。

     
  Sattonさんからお借りしました
  



1963年(昭和38)
あたりまえだのクラッカー(前田製菓)
「てなもんや三度笠」という番組で、藤田まことが「俺がこんなに強いのも、
あたりまえだのクラッカー」と言っていた。今でもはすぴー世代のおっさんたちは
当たり前のことがあると「あたりまえだのクラッカー」と自然と口に出てしまうくらい
脳裏に刻み込まれているフレーズだ。
ちなみに前田のクラッカー・クリケットは、一旦は市場から姿を消したものの
現在は復活されている元祖的クラッカーと言える。


ナンデアル・アイデアル(植木等)
洋傘メーカー(アイデアル)のCMで、植木等がポッチを押すとカサは開き「ナンデアル、
アイデアル」と言うだけのとぼけたCMだ。"5秒CM"のはしりだったように思う。
本当の一瞬の芸で、視聴者の記憶にインプットさせるわけだから、これが本当のCM
なのであろう。今では当たり前だのワンタッチ式の傘だが、当時はあまりにも画期的で
ナンデアル・アイデアルちゅーわけだ。

     

タケダ、タケダ、タケダ(武田製薬)
「ウルトラマン」「ウルトラセブン」などの特撮ヒーローもんは武田製薬提供の
"タケダアワー"からはじまった。そのオープニングテーマが♪タケダ、タケダ、
タケダ〜 タケダ、タケダ、タケダ〜 タケダ、タケダ・・・
と会社名を繰り返す
だけの曲だった。歌うは「東京混声合唱団」(笑)


インド人もビックリ(ヱスビー)
33種類のスパイスを使い、初めてプラスチックトレーを採用した特製ヱスビーカレーの
CMで芦屋雁之助が飛び上がる。その後、長門裕之バージョンもあった。
この言葉のおかげでインド人は何時もビックリしているイメージができてしまい、
インド政府は頭を抱えている様子だ(笑)「インド人もビックリ」をYahooで検索
したら689件もヒットした。(笑)かなり普通に使われているフレーズといえよう。


ブタブタコブタ(エースコック)
♪ブタブタコブタ お腹がすいた ブー♪
即席ワンタンメンのCMソング  第10回民放大会CMコンクール 最優秀金賞受賞
なぜ、コブタかというと、ラーメン発祥の地、中国では、ブタは多産であることから
「円満と繁栄の象徴」とされているからだそうだ。


キンカンぬってまたぬって(金冠堂)
♪キンコンカンコン キンカンコン カンカン鍛冶屋のおじいさん 水虫タムシで
ああかゆい キンカン塗って また塗って 今日も元気にキンカンコン みかん
キンカン酒の燗 嫁に持たせりゃ働かん

当時、水虫タムシの意味すらわからなかったが、♪キンカンぬってまたぬって・・・と
歌っていたのはオイラだけではないはず。

この年のCMには、おちゃめ系なオジサンたちが頑張っている。
おもかじいっぱい、のり玉で3杯(桂小金治 丸美屋食品)
かあちゃん、いっぱいやっか(伴淳三郎 神聖)
丈夫で長持ち(渥美清 ユベロン)
お世話になります(キャベジン 玉川良一)

          
  



1964年(昭和39)
おめえ へそねぇじゃねぇか(コルゲンコーワ)
丸出だめ夫、後の「飛び出せ青春」で不良役だった保積ぺぺがコルゲンのカエルの人形
に向かって"僕、描いてやる"と言う。
その後、「私にはヘソがあります」と主張しているのが、ヘソだしルックかも知れない(笑)
このCMは「ヘソ」のわかりずらい子がいじめられると主婦からクレームがつき、途中で
放送が中止された(帝王切開かなにかでヘソが分かりにくくなってしまう場合があるらしい)


飲んでますか(武田薬品)
アリナミンのCM。三船敏郎があの苦みばしった顔で「のんでますか!」と訴えていた。
このシンプルかつ男の渋さは後の「男は黙ってサッポロビール」(三船敏郎)に受け継が
れたと思ったのは私だけだろうか。


ファイトでいこう(大正製薬)
三船敏郎の「のんでますか!」に対抗して大正製薬のリポビタンDには世界のワンちゃん
アイフル犬のクーちゃんが、、、ちゃいまんがな、もとい 王貞治が起用された。
高度経済成長期のこの当時、王選手が、リポビタンDを片手に「ファイトでいこう!」と、
全国のお父さんを「もっと働け!ファイトぉ〜」と励まし続けた。
このCMは後に「ファイトぉ〜1発!!」につながるわけだな。ちなみにこのCMに気を
よくした王貞治は後に「ナボナはお菓子のホームラン王です」ということになる。

             


ハウスバーモントカレーだよ
このCMは西城秀樹のイメージが強烈だが、実はヒデキが「リンゴとハチミツとろーり
溶けてる」
とやる前からあったのだ。ちなみにどうでもいいが、西城秀樹のそっくりさん
「バーモント秀樹」という芸人がいる。(笑)


サクマのチャオ(サクマ製菓)
♪チャオチャオっとなめちゃお サクマのチャオ なめちゃお
天地総子が歌うサクマのチャオは飴の中にチョコが入っているという当時は
インド人もびっくりした画期的な飴だった。チャオで虫歯になった輩も多いだろう。
外側の飴だけをなめて、口の中でチョコを残す。それを器用に舌にのせて、べろ〜ん
と出すんだ。2001年に復刻版が登場。


ライオネスコーヒーキャンディ(篠崎製菓:現ライオン菓子)
♪ライオネスコーヒーキャンディ、本場のコーヒーの味。ラララ‥‥
テレビCMではリスがこれを必死で舐めるシーンしか覚えていないが、この歌は
いまだに歌える。リスにコーヒーの入った飴なんか食べさせて下痢ピーにならんか?
銀紙をむいた瞬間にコーヒーの香りがする。ライオネスコーヒーキャンディはオイラ
の人生最初に覚えたコーヒーの味だろう。


ハイクラウン森永製菓
自分ながらよく覚えてるなと思うのだが、森永の当時のチョコレート全商品名を
つなぎ合わせて作ったCMソングがある。
♪ハイクラウン ハイクラウン ゴールド&エイティ
ツーユーチョコ ビバチョコレート チョコフレーク チョコパック
スマートチョコ エンゼルパイ
ハイクラウンゴールド ハイクラウンエイティ

当時、ハイクラウンチョコの中には「妖精カード」という小さなカードが入っていて
女の子には人気があった。マーク・レスターも売上に寄与していた。
ハイクラウンチョコは今年(2004.5)に40周年を記念して復刻版が登場した。

この年、他には 頭のよい子に育てよう(森永ドライミルク)いいと思うよ(コニカ)
なんていう実にシンプルなかつ明確なCMがあった。

      
  


→ 昭和40年代編(前半)

東芝EMIより「懐かしのCMソング大全」が発売されております。



懐かしのCMに関して以下のサイトも参考になります
「テレビCM史研究拠点」 「筆無精のHP」


「スポンサーを覚えているか」もよろしくっす


(原稿:2004.5.16) 

「あの頃」のセピア色の想い出 

 
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